技師が自分ひとりだけの職場。求人で見かけて気になっているけれど、「困ったとき誰にも聞けないのでは」「休めるのだろうか」と不安になっていませんか。すでに一人職場で働いていて、続けるか迷っている人もいると思います。
先に書くと、一人職場のきつさは撮影そのものより、休みの取りにくさと、撮影以外のことまで一人で判断する場面にあります。入る前に何を確かめればいいかが分かれば、怖がりすぎる必要はありません。
現役の診療放射線技師(10年目)のアルです。完全な一人職場の経験はありませんが、一人夜勤と休日の一人出勤は経験しています。この記事では①一人の日に困った場面、②きつさと良いところ、③求人で確かめたい質問、を話します。
結論:きついのは撮影より「休み」と「撮影以外の判断」
一人職場と聞くと、難しい撮影を一人でこなせるかが心配になるかもしれません。もちろんそれもあります。ただ、私の経験と、完全な一人職場で働く知り合いの話を合わせると、つらさの中心は撮影とは別のところにあります。
中心にあるのは、次の2つです。
- 休み:代わりの技師がいないので、希望した日に休みにくい
- 撮影以外の判断:機械が止まったとき、業者とのやり取りやお金の話まで、その場にいる自分が受け止める
私自身は、一人職場に入りたいとは思っていません。理由は、希望休が取れない可能性が高いからです。
ここから先は、私の体験、知り合いから聞いた話、ネットでよく見かける声を分けて書きます。
深夜、機械が止まって業者に金額を言われた
一人の日に私がいちばん困ったのは、撮影ではありませんでした。一人夜勤の深夜、病院の機械が止まったときのことです。
業者とやり取りする中で、その場で金額を伝えられました。ところが私には、その機械に保守契約が入っているのかどうかが分かりませんでした。保守契約とは、故障したときの修理や点検を決まった料金でまかなう契約のことです。
契約の範囲なら、追加でお金はかからないかもしれない。範囲外なら、払うかどうかを誰かが決めなければいけない。どちらなのか分からないまま、私ひとりで返事はできませんでした。
深夜でしたが、上司に連絡しました。そのとき頭にあったのは、「もし上司に電話が繋がらなかったらどうしよう」という不安。
機械の保守契約がどこまで入っているかは、一人になる日の前に、一度確かめておくと安心です。
夜勤なら、朝になれば上司も同僚も出勤してきます。一人職場では、日中でもこの立場に立つのは自分です。機械の不調も業者への連絡も、相談できる同僚がいない状態で受け止めることになります。
きつさ①:希望した日に休みにくい
私が一人職場を選ばない理由も、この休みです。
完全な一人職場で働いている知り合いの技師がいます。その人は、希望した日に融通をきかせて休むのは難しいと話していました。休みたい日は、そもそも予定を入れないか、知り合いの技師にアルバイトで来てもらうそうです。
代わりが見つかりにくいのには理由があります。X線やCTのように放射線を使う撮影は、医師・歯科医師と診療放射線技師にしか認められていないからです(診療放射線技師法第24条)。看護師さんや事務の人に代わってもらうことはできません。
有給休暇を取ること自体は、働く人の権利です。ただ、自分が休む日に撮影できる人がいなければ、その日は検査を止めるか、外から技師を呼ぶことになりがちです。現実に休めるかどうかは、代わりに撮る人がいるかに大きく左右されます。
急な発熱のように前もって分からない休みは、なおさら調整がききません。ネット上の相談でも、休みの悩みはよく見かけます。
きつさ②:困ったときに聞ける同業者がいない
休みと並んでよく挙がるのが、「困ったときに聞ける同業者がいない」という声です。
技師が複数いる職場なら、迷う撮影があれば隣の先輩に聞けます。一人職場では、撮り方に迷っても、画像の出来に自信がなくても、その場で相談できる技師がいません。医師や看護師さんに聞けることと、技師にしか分からないことは違います。
私が深夜に上司へ連絡したときも、判断を相談できる技師はその場にいませんでした。一人夜勤なら朝までの話ですが、一人職場ではそれが毎日です。
職場の外に技師の知り合いを作っておくと、この孤独はいくらか和らぎます。人の少ない職場での関係づくりは、放射線技師の人間関係がしんどいでも書きました。
きつさ③:技師以外の仕事が増え、検査の幅は狭まりやすい
一人職場で働く人の声をたどると、技師本来の仕事以外が少しずつ増えていく、という話がよく出てきます。機械の点検や業者との連絡、物品の発注などを、技師が引き受けることになりやすいからです。
職場によっては、受付や掃除まで頼まれる、という声もあります。人数の少ない職場ほど、仕事の線引きはあいまいになりがちです。
もうひとつ見かけるのが、できる検査が偏っていくことへの不安です。たとえば、今の職場に無い機械の撮影から、何年も離れてしまうような状況。次の職場を探すときに選択肢が狭まるのでは、と心配する人がいます。
気になるなら、自分がどの検査から離れているかを一度書き出してみてください。次に何を補えばいいかが見えてきます。
良いところ:自分のペースで仕事を組み立てられる
一人の日がきついことばかりだったかというと、そうでもありません。私が楽だと感じたのは、患者さんがいない時間にする仕事を、自分のペースで進められることでした。
誰かの段取りに合わせる必要がないので、手の空いた時間に何をどの順でやるかを自分で決められます。人に合わせるのが負担になる人には、大きな利点になるはずです。
ネットでは、技師同士の人間関係に悩まなくていい、という声も見かけます。技師が一人なら、技師同士の人間関係はそもそも生まれません。ただし院長や看護師さんとの距離は近くなるので、そこでこじれると逃げ場が少ない、という声もセットで出てきます。
向いているのは、技師歴10年ほどでひと通り撮れる人
一人職場に向いているのは、技師歴が10年くらいあって、ひと通りの検査ができる人だと私は考えています。相談相手がいない職場では、自分の経験だけで判断する場面が増えるからです。
ただ、私自身は技師歴10年目ですが、それでも選びません。撮影ができるかどうかと、その働き方が生活に合うかどうかは、別の話だからです。
一人職場に向いている人(目安)
- 技師歴10年くらいで、ひと通りの検査ができる
- 手の空いた時間の段取りを、自分で決めたい
- 休みたい日を前もって調整しておける
4〜5年目で一人職場の求人が気になっているなら、次の章の質問に、職場がはっきり答えてくれるかで決めてください。答えがあいまいな職場は、見送るほうが安全です。
複数の技師がいる職場で経験を積んでから、という選び方も十分あります。職場の種類ごとの違いは、放射線技師は病院とクリニックどっちがいい?にまとめました。
求人を見たら、見学や面接でこれを確かめる
一人職場の求人が気になったら、入る前に次のことを確かめておくと、「聞いていない」となる場面を減らせます。私の深夜の経験と、知り合いの話をもとにした質問です。
| 確かめたいこと | 分かること |
|---|---|
| 自分が休む日は、誰が撮影するのか | 希望休や急な休みが現実に取れるか |
| 代わりの技師は、誰が探すのか | 休むたびに自分で手配することになるか |
| 機械の保守契約はどこまで入っているか | 故障のときにお金の判断を迫られるか |
| 夜間や休日に機械が止まったら、誰に連絡するのか | 一人で抱える範囲がどこまでか |
| 前の技師は、なぜ辞めたのか | 休みや仕事量に無理がなかったか |
表の質問は、全部を面接で聞かなくても大丈夫です。いちばん気になるものを1つ聞くだけでも、職場の様子は見えてきます。
すでに一人職場で働いている人も、同じ表を今の職場で使ってみてください。代わりの人と連絡先が決まるだけでも、一人で抱える量は減ります。
休む日の代わりは誰が探すのか、機械が止まったら誰に連絡するのか。この2つから聞いてみてください。
答えがその場で出なくても、決めてほしいと伝えておくと、次に困ったときに誰を頼ればいいかがはっきりします。
聞いても何も決まらないなら、今の状態は変わりません。そこが、職場を変えるかどうかを考える目安です。
前の技師が辞めた理由のように面接で聞きにくいことは、転職エージェントに確かめてもらう方法もあります。私の使い方は放射線技師の転職エージェントの使い方に書きました。
まとめ:一人職場は「休み」と「困ったときの連絡先」で選ぶ
一人職場のきつさは、撮影の難しさだけでは決まりません。希望した日に休めるか。機械が止まったとき、誰に連絡してどこまで自分で決めるのか。この2つが、働きやすさを大きく左右します。
私は休みを優先したいので選びませんが、合う人には、人に合わせず働ける良い職場です。どちらが正しいかではなく、自分の生活に合うかどうかで選んでください。
この記事のまとめ
- きついのは撮影より、休みの取りにくさと撮影以外の判断
- X線やCTの撮影は技師にしかできないので、休む日は代わりの技師が要る
- 良いところは、手の空いた時間の使い方を自分で決められること
- 向いているのは技師歴10年ほどで、ひと通りの検査ができる人(私の考え)
- 入る前も、いま働いている人も「休む日は誰が撮るか」「保守契約の範囲」「止まったときの連絡先」を確かめる
- 経験の浅い技師でも、一人職場で働けますか。
-
働けないわけではありません。ただ、迷う撮影があってもその場で相談できる技師がいないので、一人で判断する場面が続きます。私は、技師歴10年くらいでひと通りの検査ができる人のほうが向いていると考えています。
- 一人職場でも有給休暇は取れますか。
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取れます。法律で認められた休みです。ただ、代わりに撮影する技師がいないと、希望した日に休むのは難しくなります。一人職場で働く知り合いは、休みたい日はそもそも予定を入れないか、知り合いの技師にアルバイトで来てもらうそうです。入る前に、休む日は誰が撮影するのかを確かめておくと安心です。
- 看護師さんに撮影を代わってもらうことはできますか。
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X線やCTのように放射線を使う撮影は、代わってもらえません。放射線を人に照射できるのは、医師・歯科医師と診療放射線技師だけと決められているからです(診療放射線技師法第24条)。
- 一人職場の求人は避けたほうがいいですか。
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一概には言えません。自分の段取りで働けるのは一人職場の良いところです。休む日の代わりの技師、機械の保守契約の範囲、止まったときの連絡先を確かめて、納得できるなら選ぶ価値はあります。









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