出勤前に、みぞおちのあたりが重くなる。今日も失敗したらどうしよう、と考えているうちに朝が来る。まだ働き始めて1年、2年なのに、もう辞めたい。そう思ってしまう自分に、また落ち込む。
その気持ちを否定するつもりはありません。ただ、新人の「辞めたい」には、時間が解決するものと、そうでないものがあります。この見分けがつくと、いま辞めるべきかどうかが自分で判断できます。
現役の診療放射線技師(10年目)のアルです。私が初めて職場を変えたのは3年目でした。この記事でわかるのは、①待てば消える悩みと消えない悩みの見分け方 ②私が3年目で動いた理由 ③新人のうちにやっておくと後で効くこと、の3つです。
新人が「辞めたい」と思うのは、めずらしくない
検査は覚えることが多く、覚えた先には患者さんがいます。失敗が誰かの負担に直結する仕事を、経験の浅いうちから任される。それが新人のきつさの正体です。
周りの先輩は当たり前のように手が動いていて、自分だけが遅れているように見える。実際には、その先輩たちも同じ道を通っています。ただ、渦中にいるとそう思えません。
だから「辞めたい」と感じること自体は、弱さでも甘えでもありません。問題は、その気持ちを勢いのまま行動に変えてしまうことです。
待てば消える悩みと、待っても消えない悩み
新人の「辞めたい」を、私は2種類に分けて考えています。この2つは、同じ「辞めたい」でも取るべき行動が正反対です。
| 待てば消える悩み | 待っても消えない悩み | |
|---|---|---|
| 中身 | 技術が追いつかない/怒られる/自信が持てない | 給料が安い/体制そのものが合わない |
| 理由 | 経験を積めば手が動くようになる | 経験を積んでも仕組みは変わらない |
| 取るべき行動 | 今の職場で経験を積む | 情報を集めて、動くか決める |
技術の問題は、時間が味方します。半年前にできなかったことが、今はできているはずです。一方、給料や体制の問題は、あなたが成長しても変わりません。
どちらか分からないときの見分け方
半年前の自分と比べてみてください。できることが増えているなら、それは待てば消える悩みです。逆に、できることは確実に増えているのにつらさが変わらないなら、原因は技術ではなく条件のほうにあります。この場合は、時間をかけても同じ場所に立ち続けることになります。
私が3年目で職場を変えた理由
私自身、新人のころから漠然と「このままでいいのか」と感じていました。ただ、実際に動いたのは3年目です。
理由は、給料が安く、割に合わないと思っていたことでした。仕事そのものが嫌だったわけではありません。検査は面白かったし、人間関係にも大きな不満はなかった。それでも、責任の重さに対して手取りが見合っていないと感じ続けていました。
これは、私が上手くなれば消えるものではありませんでした。だから調べて、給料が上がる職場に移りました。
新人のうちは、つらさの原因が自分の未熟さなのか、職場の条件なのか、区別がつきにくいんですよね。私も分かるまでに3年かかりました。技術の話なら時間が解決してくれますが、お金の話は待っても変わりませんでした。
それでも、1年目での即決はおすすめしない
動くことを勧めておいて矛盾するようですが、1年目のうちに勢いで辞めるのは、あまりおすすめできません。
理由は単純で、1年目では判断材料が足りないからです。今の職場が普通なのか、恵まれているのか、きついのか。比べる物差しを、まだ持っていません。
もう一つ、経験年数によって選べる求人の幅が変わります。1年で辞めると、その幅が狭いまま次を探すことになります。
ただし、体調が落ちているなら例外です
眠れない、食べられない、朝に体が動かない。そうした状態が続いているなら、年数の話は後回しでかまいません。まず休むことを優先してください。産業医や、職場の外の相談窓口を早めに使ってください。無理を続けて壊れてしまうと、選択肢そのものが減ります。
新人のうちにやっておくと、あとで効くこと
辞めるか続けるかを決める前に、やっておくと後で必ず効くことがあります。
「技術のこと」と「条件のこと」に分けて書き出す。混ざったままだと、判断ができません。
小さくて構いません。半年後に読み返すと、時間が解決する種類の悩みだったかが分かります。
応募しなくて構いません。自分の年数でどんな条件が付くのかを知ると、比べる基準が手に入ります。
新人の時期は、耐える期間ではなく、見極める期間です。やみくもに我慢するのでも、勢いで飛び出すのでもなく、判断材料を集める時期だと考えてください。
「給料が安い」と感じたときに、知っておきたいこと
新人のうちから給料に不満を持つのは、贅沢でも何でもありません。実際、放射線技師の給料には仕組み上の理由があります。
たとえば基本給が低めに設定され、当直手当で補う形をとっている職場は少なくありません。つまり、夜勤に入らなければ手取りが伸びにくい形です。この構造は、あなたが上手に検査をこなせるようになっても変わりません。
給料の仕組みは放射線技師の年収は低い?現役10年目が給料の裏側を本音で解説で詳しく書きました。条件を比べてみたい段階になったら、私が実際に使った放射線技師の転職サイトはどれがいい?現役技師が2社に絞って比較も参考にしてください。
よくある質問
- 1年目で辞めるのは、やっぱり不利になりますか?
-
経験が短いぶん、選べる求人は限られやすくなります。ただ、不利になるからという理由だけで体調を犠牲にするのは本末転倒です。体調に問題がないなら、もう少し様子を見てから決めても遅くありません。
- ミスばかりで自信がなくなりました。向いていないのでしょうか?
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ミスの多さと適性は別の話です。新人の時期は、ミスが起きやすい条件が揃っています。落ち込みとの付き合い方は撮影ミスで落ち込む放射線技師へ|立ち直り方と再発防止のコツにまとめました。
- 先輩が怖くて、質問できません。
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聞きにくい相手を避けて、聞ける相手を1人決めておくのが現実的です。全員と等しく話せる必要はありません。ただ、誰にも聞けない状態が続くなら、それは職場の環境の問題です。相手ごとの距離の取り方は放射線技師の人間関係がしんどい|狭い職場での距離の取り方にまとめました。
- どのくらい続ければ「経験を積んだ」と言えますか?
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明確な線引きはありません。ひととおりの検査を任されるようになったころが、ひとつの目安です。私の場合は3年目でした。年数そのものより、比べる材料を持てたかどうかで考えてください。
まとめ|辞めるかどうかより、原因を仕分けることから
今の職場が全てではありません。行動を起こせば、何か変わるかもしれない。私はそう思って動きました。ただ、新人のうちは焦らなくて大丈夫です。まず、そのつらさが待てば消えるものかどうかを見てください。
- 新人が「辞めたい」と思うのは自然。失敗が誰かの負担になる仕事を、経験の浅いうちから担うため
- 悩みは2種類に分ける:技術・自信は待てば変わる/給料・体制は待っても変わらない
- 私が動いたのは3年目。理由は給料。技術の悩みではなかったから、時間では解決しなかった
- 1年目での即決は避ける。比べる物差しがまだない。ただし体調が落ちているなら例外
- 新人期は見極める時期:原因を書き分ける・できたことを記録する・相場を一度調べる
いま辞めたいと思っていることを、責めなくていいです。その悩みが待てば消えるものなら、あと少しだけ時間を味方にしてください。待っても消えないものなら、調べることから始めれば十分です。
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