今日も同じ検査、同じ手順、同じ声かけ。手は勝手に動くのに、頭のどこかがぼんやりしている。この先何十年これを続けるのかと考えて、ふっと気持ちが沈む日があります。
先に言っておきます。その退屈は、あなたが手を抜いているから生まれるのではありません。新人のころには来ません。ひととおり仕事を覚えた人にだけ訪れます。
現役の診療放射線技師(10年目)のアルです。私自身、今も同じ感覚を抱えたまま働いています。この記事でわかるのは、①つまらなさの正体 ②なぜ完全には消えないのか ③それでも景色を変えるために私がやったこと、の3つです。
「つまらない」は、仕事を覚えきったころにやってくる
新人のころを思い出してください。毎日必死で、退屈を感じる余裕などなかったはずです。覚えることが山ほどあって、できないことのほうが多かった。
つまらなさが顔を出すのは、たいてい仕事をひととおり覚えたあとです。できないことができるようになる。その手応えが、毎日の張り合いになっていました。ところが身についてしまうと、その報酬が止まります。
つまり、退屈を感じているのは停滞のサインではありません。一段目を登り切った人にだけ見える景色です。
正体は「毎日同じ検査の繰り返し」
私にとってのつまらなさの正体は、はっきりしています。毎日同じ検査を、同じ手順で繰り返すことです。
目の前の患者さんは毎日違います。それなのに、こちらの動きだけはほとんど変わりません。同じ部位を、同じポジショニングで、ほとんど同じ言葉をかけて撮る。日によって変わるのは件数くらいです。
検査が安全に回っている証拠でもあります。ただ、それを何百回と続けた先に、手応えは残りにくい。
正直に言うと、この仕事を続ける限り完全には消えない
ここで期待外れなことを言います。私は10年目ですが、このつまらなさは今も抱えたままです。新しい検査を覚えた直後は薄れます。でも、それが日常になればまた戻ってきます。
「これをやれば仕事が楽しくなる」という話をよく見かけます。ただ、検査業務が決まった手順の繰り返しであること自体は、この職業の構造です。工夫で消せる部分と、消せない部分があります。
私の実感としては、放射線技師を続ける限り、この感覚は抱え続けるんだろうなと思っています。だから私は、消そうとするのをやめました。消えない前提で、どう付き合うかを考えたほうが現実的なんです。
では、何なら変えられるのか
つまらなさを丸ごと消そうとすると、必ず行き詰まります。先に、変えられないものと変えられるものを仕分けます。
| 変えられないもの | 変えられるもの | |
|---|---|---|
| 検査の中身 | 手順そのものは決まっている | 自分が扱える検査の種類 |
| 立場 | 技師という職種 | 職場・役割・持っている資格 |
| 収入 | 今の職場の基本給 | 資格手当や、職場を変えた場合の給与 |
左の列を変えようとすると疲れるだけです。動かせるのは、いつも右の列でした。
私がやったのは、現状維持をやめることだった
では何をしたか。特別なことではありません。転職を本気で考えて、実際に動いてみました。
求人を見て、条件を比べて、話を聞く。その過程で、自分に足りないものがはっきりしました。結果として、給料を上げることも兼ねて認定資格を取ることにしました。転職を考えたからこそ、資格を取る理由がはっきりした、という順番です。
- 外の条件を知ると、今の職場が相対化される:良い点も悪い点も、比べて初めて見えてきます
- 足りないものが具体的になる:漠然とした不満が「何が足りないか」に変わります
- 勉強する理由ができる:目的のない勉強は続きませんが、目的があれば別です
転職することが目的ではありません
私は結果として今の職場に残っています。それでも景色は変わりました。大事なのは、転職したかどうかではなく、現状維持のまま同じ場所に立ち続けるのをやめたという一点です。動いてみて「今のままでいい」と分かったなら、それも立派な結論になります。
今日から動くなら、この順番がおすすめ
いきなり辞表を出す必要はありません。負担の軽い順に、次の3つで十分です。
応募しなくて構いません。今の自分にどんな条件が付くのかを知るだけで、現在地が分かります。
経験なのか、資格なのか、扱える検査の幅なのか。1つに絞ると、次の行動が決まります。
資格でも、新しい検査の担当でも構いません。期限を決めると、日常に張りが戻ります。
「見るだけ」が一番効く
求人を眺めるだけでも、今の職場の位置づけが見えてきます。条件の良い職場があると分かれば動く材料になりますし、意外と悪くないと分かればそれはそれで納得できる。どちらに転んでも、判断材料が手に入ります。
動くと、お金がついてくることもある
つまらなさの話に、お金を持ち込むのは不純に思えるかもしれません。ただ、同じ仕事でも、評価される場所に移れば手取りは変わります。
認定資格に手当を出す施設もありますが、金額や有無は職場によってまったく違います。転職の場合も同じで、基本給の考え方は施設ごとにばらばら。だからこそ、自分の条件を一度は外に出して確かめる価値があります。
給料の仕組みについては放射線技師の年収は低い?現役10年目が給料の裏側を本音で解説で詳しく書きました。どんな職場があるかを具体的に見たいなら、私が実際に使った放射線技師の転職サイトはどれがいい?現役技師が2社に絞って比較も参考になります。
よくある質問
- 仕事がつまらないのは、向いていないからでしょうか?
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逆のことが多いです。つまらなさは、仕事をひととおり覚えた人に訪れます。何も分からない段階では、退屈を感じる余裕がありません。向き不向きよりも、次に何を身につけるかを決める時期に来た、と考えるほうが実際に近いです。
- 転職すれば、つまらなさは消えますか?
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しばらくは軽くなります。新しい機器や新しい人間関係に慣れるまでは、覚えることが増えるからです。ただ、慣れればまた同じ感覚が戻ります。転職を「解決」ではなく「環境を選び直す手段」と考えたほうが、後悔しにくくなります。
- 認定資格は取る価値がありますか?
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手当が付くかどうかは職場によって違うので、取れば収入が上がると約束はできません。ただ、勉強の過程で今まで流していた検査の意味が見えてきます。同じ検査でも、理由が分かると見え方が変わります。
- 何かする気力すら湧きません。
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つまらなさではなく、疲れが原因かもしれません。夜勤や当直で睡眠が細切れになっていると、何かを始める気力そのものが出にくくなります。その場合は夜勤・当直がつらい放射線技師へ|負担を減らす3つの道を先に読んで、休める形を整えるほうが先です。
まとめ|つまらなさは消えない。でも、立つ場所は選べる
現状維持のままでいようとするから、つまらなく感じるんだと思います。仕事の中身は自分では変えられませんが、自分がどこに立つかは選べます。変わりたいなら、待つのではなく自分から動いたほうが早いですよ。
- つまらなさは覚えきった証拠。新人には訪れない。停滞のサインではない
- 正体は同じ検査の繰り返し。患者さんは毎日違っても、こちらの動きは変わらない
- 続ける限り完全には消えない。消す前提でなく、付き合う前提で考える
- 変えられるのは立ち位置:職場・役割・資格。手順そのものは動かせない
- まずは求人を見るだけ。動く材料か、今で十分という納得か、どちらかが手に入る
退屈しているのは、あなたが怠けているからではありません。一段目を登り切ったからこそ、次の段が見えていないだけです。
つまらなさが「辞めたい」にまで育っているなら、放射線技師を辞めたいあなたへ|1年目・3年目・10年目で「答え」は違いますもあわせて読んでみてください。








