「放射線技師 転職 失敗」で検索する人の多くは、まだ動いていません。求人票をブックマークしては閉じ、応募ボタンの前で手が止まる。今より悪いところに行ったらどうしよう。落ちたら職場に居づらくならないか。
先に結論を言います。転職の失敗とは、落ちることではありません。入ってから「聞いていた話と違う」と気づくことです。危ないのは動くことではなく、確かめずに決めること。私は落ちた側ですが、失ったものは一つもありませんでした。
現役の診療放射線技師(10年目)のアルです。この記事では、①うまくいかなかった転職に共通していた「決め方」5つ ②求人票にも面接にも出てこなかった仕事の話 ③落ちた私が実際に失ったもの、の3つを書きます。
転職の「失敗」は、落ちることではありません
私は人材サービスを使った転職活動を2回しています。1回目は動いて正解でした。2回目は不採用で、今の職場に残っています。
世間の分類なら、2回目は「失敗」です。ただ、当時の私にも今の私にも、失敗した感覚がまったくありません。理由は後半に書きますが、一言でいえば何も失わなかったからです。
本当に痛いのは、その逆でした。受かって、入って、しばらく経ってから「これは聞いていない」と気づくほう。こちらは断ることも取り消すこともできません。落ちるのは一日で終わりますが、入ってからのズレは何年も続きます。
だからこの記事では、失敗を「不採用」ではなく「入ってから気づくズレ」として扱います。辞めるか残るか自体で迷っている段階なら、先にこちらを読んでもらったほうが早いです。
求人票にも面接にも出てこなかった仕事
まず、私自身がやった失敗から書きます。以前いたクリニックで、入ってから知った業務です。
- 朝の鍵開け当番が月2回ほど。1時間早く出勤して、掃除もします
- 急に来られなくなった患者さんへの電話。いつなら来られますか、と予約を取り直します
- 昼休憩をつぶしての撮影。訪問看護から紹介された患者さんを、院長の午後の診察までに撮り終えておく必要がありました
どれも、求人票には一行も書かれていませんでした。面接でも話に出ていません。そして、これらは撮影の技術とはまったく関係のない仕事です。
誤解のないように書いておくと、これは特別ひどい職場という話ではありません。人数の少ない職場では、誰かがやらなければ回らない仕事があり、それが技師に回ってくることがある、というだけです。問題はその存在ではなく、入るまで知る方法がなかったことのほうでした。
今なら、面接で「撮影以外にどんな仕事がありますか」と一言聞きます。次に書く当直の回数と同じくらい、ここで生活が変わるので。
聞いていた時期になっても、当直に入れなかった
もう一つ、別の職場での話です。面接のときに「入職から何か月ほどで当直に入ってもらう」という説明を受けていました。ところが、その時期を過ぎても順番が回ってきませんでした。
のんびり構えていられる話ではありません。技師にとって当直は労働条件ではなく、収入そのものだからです。入る前提で生活を組んでいれば、入れないぶんだけ毎月の手取りが足りなくなります。
結局、私は事務の責任者のところへ話をしに行きました。言いにくいことでしたが、黙っていて変わる話でもありません。
その後どうなったかはここでは書きません。ただ、はっきり言えることが一つあります。入る前にひと言確かめておけば、この話し合い自体が要らなかったということです。
「当直はありますか」ではなく、「いつから、月に何回入れますか」。この一言に変えるだけで、聞ける情報がまるで変わります。
あるかないかは、たいてい求人票に書いてあります。書いていないのは、いつから・どれだけのほう。そして収入を左右するのは、書いていないほうです。
私の場合、順番が回ってこなかった理由が何だったのかは、今もわかりません。ただ一つ確かなのは、当直に入る時期は本人の希望だけで決まるものではないということです。人の配置も、教育の進み具合も、こちらからは見えません。
だから面接では、意気込みではなく「直近1年で、入職何か月目から入っている人が多いですか」と、実績のほうを聞いたほうが確かです。予定は変わりますが、実績は変わりません。
うまくいかなかった転職に共通していた「決め方」5つ
ここまでの2つは、同じ形をしています。入る前に聞けば分かったことを、聞かないまま決めた。私自身の2回と、周りで転職した人の話を並べても、うまくいかなかったケースには同じ共通点がありました。人の問題ではありません。決め方の問題です。
1. 求人票と面接の言葉だけで決めてしまった
いちばん多いのがこれです。求人票の業務内容は「一般撮影・CT・MRI」のように、装置の名前しか書かれていません。実際の一日は、その装置の前に立っていない時間のほうが長いことがあります。
面接も同じです。聞かれたことには答えてもらえますが、聞かなかったことは出てきません。悪意ではなく、向こうにとっては当たり前すぎて説明する発想がないだけ、という場合がほとんどでした。
2. 「ここではないどこか」で選んでしまった
今がつらいこと自体は、まったく悪いことではありません。私も3年目に、給料が割に合わないと感じて動きました。つらさは動く理由になります。
ただ、つらさは行き先を選ぶ基準にはならないんです。「ここではないどこか」で探すと、条件を比べる軸がないまま、早く決まったところに決めてしまいます。
3. 年収を額面で比べてしまった
技師の給料は、当直や夜勤の手当が乗って初めて今の金額になっていることが多いです。求人票の年収も同じで、何が含まれた数字なのかは書かれていません。
額面が同じでも、当直の回数が減れば手取りは下がります。逆に額面が少し低くても、当直が確実に入るなら並ぶこともある。比べるべきは総額ではなく内訳でした。
もう一つ、額面だけを見ていると気づけない形があります。年収が少し下がっても、シフトが自由で空いた日にアルバイトを入れられるなら、手元に残るお金はむしろ増えることもある。減った分をどこで取り返せるかまで含めて、はじめて比較になります。
私が見ている範囲では、今はどこの求人も年収が高いとは言えません。金額だけで並べても、大きな差はつかないんです。どういう働き方なら自分は納得できるのかを先に決めたほうが、同じ求人票でも見え方が変わります。(副業ができるかどうかは、勤務先の就業規則の確認が必要です)
4. 不満の中身を分けないまま動いた
「しんどい」の中身は、だいたい2種類が混ざっています。この職場だから起きていることと、この働き方だから起きていることです。
人間関係や雑務の多さは前者で、職場を変えれば消える可能性があります。一方、夜中に叩き起こされるつらさは後者。当直のある職場に移るかぎり、これはついてきます。ここを分けずに動くと、建物だけ変わって同じ場所に戻ってしまう。
5. 辞めてから探せばいい、と思っていた
これは私が周りを見て思うことですが、辞めてから探すと、収入が止まった状態で選ぶことになります。そうなると、条件を確かめる時間より、早く決めたい気持ちのほうが勝ちます。
在職しながらなら、気に入らなければ断れます。この差が、後で効いてきました。
落ちた2回目に、私が失ったもの
2回目の活動は、在職したまま動きました。昇給の幅が小さいのに責任だけが増えていくのが、そのままの動機です。
結果は不採用でした。今も同じ職場にいます。
ただ、落ちた理由は自分の力不足ではありませんでした。応募先が、募集そのものを正社員からアルバイトに切り替えたんです。そのうえで「アルバイトでもどうですか」と打診がありましたが、そこは断りました。
これは、間に人が入っていたから聞けた話です。自分で直接応募していたら、届いたのは不採用の連絡だけだったと思います。
「自分が評価されなかった」と「向こうの都合が変わった」は、まったく別の出来事です。私も、理由を知らないままだったら自分のせいだと思い込んでいました。
面談と面接に使った時間は、確かにかかりました。ただ、それ以外に失ったものはありません。職を失ったわけでも、給料が止まったわけでもない。活動していた間も、給料はいつもどおり振り込まれていました。今の職場に知られることもありませんでした。
もし理由を知らないままだったら、私はたぶん「自分は求められていない人材なんだ」と結論を出していました。そして、しばらく動かなかったと思います。落ちた理由を確かめられるかどうかは、次に動けるかどうかに直結します。
むしろ手元に残ったもののほうが多かったです。外の職場が自分をどう評価するのか、次に動くなら何を準備しておくべきか。残ると決めるにしても、一度外を見ているかどうかで、その後の落ち着き方が違いました。
今の実感は、はっきりしています。行動に移さないことのほうが、よほどリスクでした。
落ちた話をわざわざ書いているのは、これが一番伝わらない部分だからです。落ちても、日常は何も変わりませんでした。
後悔しなかった人に共通していたのは、下準備でした
逆に、周りで「転職してよかった」と言っている人を思い返すと、条件が良かったから、という単純な話ではありませんでした。共通していたのは下準備を入念にしていたことです。何をどこまで確かめていたのかは、そこまで聞いていません。
ただ、私が確かめそこねたものなら、はっきり言えます。いま同じ立場に戻れるなら、決める前にこの5つを聞きます。
- 撮影以外の業務(当番・電話対応・雑務がどれだけあるか)
- 当直・夜勤の開始時期と回数(いつから、月に何回)
- 残業の実時間(規定ではなく、実際に何時に帰っているか)
- 教育体制(誰が、どのくらいの期間、どこまで見てくれるか)
- 人の出入り(前任者がなぜ辞めたか、技師が何人いるか)
この記事で書いた2つの失敗は、1つ目と2つ目に収まります。ただ、いま一番悔やんでいるのは3つ目です。規定の残業時間ではなく、みんな実際に何時に帰っているのかを、一度も聞かなかった。
なお、これを面接でどう聞くか、行き先そのものをどう選ぶかは、別の記事に数字での聞き方までまとめてあります。
「動かない」と決めるのも、失敗ではありません
ここまで読んで、やっぱり今は動かない、と思った人もいると思います。それでいいです。この記事を検索して、結局は残る人も多いはずですし、私自身がその一人なので。
ただ、確かめずに残るのと、確かめたうえで残るのは、同じ「残る」でも中身が違います。確かめずに残ると、数年後にまた同じ検索をすることになりがちです。一度でも外を見ておくと、次に動くときの判断が速くなります。
そして、この記事で挙げた5つの確認項目は、応募する前に自分だけで確かめるのは、かなり難しいものばかりです。求人票にも、病院のホームページにも書いてありません。
私は2回目の活動で落ちています。それでも、失ったものは一つもありませんでした。在職のまま動いたので給料は入り続けましたし、外から見た自分の評価を知ることもできた。
確かめるだけなら、まだ辞めなくていいんです。私が実際に登録して、面接まで進んで落ちたのがどこだったかは、別の記事に書いてあります。
まとめ|危ないのは動くことではなく、確かめずに決めること
この記事で伝えたかったことを、もう一度だけ置いておきます。
- 転職の失敗は落ちることではなく、入ってから「聞いていた話と違う」と気づくこと
- 求人票と面接で出てくるのは、聞かれたことだけ。鍵開け当番も、患者さんへの電話も、書かれていなかった
- 当直は「あるかないか」ではなく「いつから、月に何回」で聞く。収入が変わるのはそこ
- 私は在職のまま動いたので、落ちても失うものがなかった
動くかどうかは、確かめたあとで決めれば間に合います。順番を逆にしなければ、たいていのことは失敗になりません。
よくある質問
- 不採用になったら、経歴に傷がつきますか?
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応募して落ちたことが、履歴書や職務経歴書に残ることはありません。私も落ちていますが、その後の働き方に影響したことはありませんでした。しかも私の場合、落ちた理由は応募先が募集の形を変えたことでした。落ちた理由が自分にあるとは限りません。
- 在職中に活動して、今の職場に知られませんか?
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私が利用したときは「現職には連絡しない」という説明を受けましたし、実際に知られることもありませんでした。ただ、これはどのサービスでも必ず保証されるという意味ではありません。登録するときに、現職への連絡について自分から確認しておくと安心です。
- 入って1年で「違った」と思ったら、また動いていいですか?
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動くこと自体は自由です。ただ在籍が短いと、次の面接で理由を聞かれることがほとんどです。そのときに「合わなかった」で終わらせず、何がどう違ったのかを一つ具体的に言えると、受け取られ方が変わります。次は同じことを確かめてから決める、という話につながるからです。
- 転職サービスに登録したら、転職させられませんか?
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登録は応募ではないので、そのまま辞退しても問題ありません。私も2回目は在職のまま活動して、結果的に今の職場に残っています。求人を見て、話を聞いて、それでも動かない。この結論も普通に選べます。連絡の頻度が気になるなら、最初に希望を伝えておくと落ち着きます。






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